ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

日本の某県。

暑くもなく、寒くもない季節。


エルクは、公園のベンチに横たわってい た。

ひどい眠気におそわれ、体が思うように 動かない。

鳥の鳴き声と、目の皮膚を通して伝わる まぶしい光で、彼はうっすら目を開け た。

「……ここは?」

青乃臣の魔術で異空間に飛ばされたこと を思い出し、彼は勢いよく起き上がり大 地を踏みしめた。

「ジョー! お前、なんてことしてくれ たんだ!」

怒りながら、周りを見渡した。

道を走る車の走行音。

犬の散歩をしている女性。

エルクにとって、見慣れない物ばかりが 目に飛び込んできた。

一方、青乃臣は取り乱すことなく穏やか に、

「エルク様。ようやく目が覚めました か?

おはようございます」

ずっと起きていたのだろう、青乃臣はベ ンチの端に座り、立ち尽くすエルクを見 上げた。

「お前、ノンキすぎるぞ。この景色を見 て、何とも思わねぇの!?」

「《地球》と呼ばれる惑星でございま す。

史実によれば、私達の住む《スアン》と ここは、10万光年ほど離れているそう です」

「……冷静だな、お前」

「それが、仕事ですから」

青乃臣は微笑する。
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