ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

未来を安心させるべく、青乃臣は穏やか な話し口調で、

「ええ。どうか安心して下さい。

通常のヴァンパイアならば、未来様の考 える通り、無差別に人間女性を獲物にす るでしょうが、エルク様は違います。

エルク様の中に流れるヴァンパイアの血 は、極めて薄いですから。

これまでは、私達が探している宝石・ ラークリマの魔力で、ヴァンパイア質が 抑えられていたと考えられます」

「……そう。よかった……」

自分の血を狙われずに済むと知り、未来 はホッと胸をなでおろした。

けれども、青乃臣の表情はどこかさえな い。

未来を気遣い落ち着きを保ちながらも、 焦りを隠し切れていない感じだ。

「……未来様の体を傷つけるようなこと は、エルク様はもちろん、私も望んでい ません。

しかし、このまま地球でラークリマを見 つけられない場合、エルク様の命は確実 に縮んでいくのです……」

「血を吸わず、普通の食事だけで生きよ うとするから?」

「ええ……。普通の食事で、身体能力を 維持する栄養素は補えます。

ですが、ヴァンパイア質が発症してし まった以上、血を吸わないでいると短命 になるのは必至……。

1ヶ月の間、人の生き血を飲めない場 合、エルク様の寿命は1年縮みます。

太陽の出る晴天の日も、活発に動くこと はできません」

「『ヴァンパイアは太陽の光に弱い』っ て、本当だったんだ……」

ファンタジー小説をそのまま切り取っ て、目の前に出されたような感覚。

壮絶な話に、未来は息をのんだ。
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