ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
青乃臣は直立の体勢を崩し、土下座し た。
「我々のことを敬遠するお気持ち、深く 察しております。
ですが、どうかお願いします。
エルク様は至らない部分も多々あります が、未来様には、あの方と仲良くしてい ただきたいのです。
ラークリマ入手のため、私達には、未来 様のお力が必要なのです……。
マグカップの件に関しても、エルク様は ひどく落ち込み、未来様を傷つけたこと をとても反省してみえました」
「……あんなマグカップごときで、アイ ツがそんなに……?」
未来は紅茶の入ったマグカップに手を伸 ばし、口をつけた。
これまで飲んだことのない、優しくて甘 い香りが、口いっぱいに広がる。
紅茶を飲んだ瞬間、空腹感を覚え、バス ケットの中のドーナツにも手をつけた。
「んっ……!」
柔らかい舌触り。
シュッと口どけの良い生地。
後味さっぱり、くどすぎない甘さ。
これまで未来は、高級店のスイーツを何 度か食べてきたけれど、こんなに胸が いっぱいになる味に出会ったのは初めて だ。