幕末パノラマ
「あっ、あり...、がとうございます..」
「ああ、怪我はないな?」
「はい、」
一部始終が終わり腰の抜けた私にそっと手を差し伸べてくれる彼
その姿は何処と無く春に似ていて涙が出そうになる
「あまり、夜の女だけの外出は控えろ、この時代夜に一人で居るのは危ないからな」
この時代...?
ドクンと心臓が脈をうつ
「あのっ、今って...何年でしたっけ?」
「?、頭でも打ったのか?今は文久元年だろう?」
「....あ、そう..でしたか...」
文久...
平成じゃない
冷たい汗が背筋に流れる
これって...タイムスリップ?
足の力がまた抜ける
ぺたんと崩れ落ちてゆく私
*