幕末パノラマ





「春、お前は自分で選んでいいぞ」





「は?」






「は?じゃねぇーだろ阿呆、四国屋か池田屋自分で好きな方に行きやがれ」




悪態をつきつつも、そんなことを言うと浅葱色の羽織を羽織る土方



それがなかなか様になっていて男の俺でもかっこいいと思う




「じゃあ、俺は土方さんのいない池田屋で」

なんかそれが妙に悔しくてついそう言うと眉間に皺をよせる土方



「お前、後で覚えてろよ...」




「生きてたら..覚えててもいいですよ」






”生きてたら”なんて悲しいことを言うつもりはなかった




もしかしたら数時間後誰かが、もしくは俺が死んでる、この世から消えるなんて嫌な事だ



けど、今から行うことはそんな事



結果的に誰かが喜ぶとしても、命の消し合いということは誰も喜ばない




そんな悲しい事




< 195 / 241 >

この作品をシェア

pagetop