幕末パノラマ




「大丈夫だ、きっと戻る」



稔麿様はそこまで言うと部屋を出てゆく



一階からはキィーンと響く金属音や叫び声



対照的に私の部屋はシーンっと私の立てる物音以外は全く聞こえない




ヤダ


やだよ...



なんで誰も戻ってきてくれないの?




徐々に瞳からは涙が溢れ出す



ヤダ、ヤダっっ!!!!


誰か戻ってきて!!!!




耳を塞ごうとしたその時だった



カタンっ、と音を立てる障子




「稔麿様っ!!!!」






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