幕末パノラマ
私なんかよりずっとずっと大きくて、力強い手
「綺麗だなんて..大袈裟です、私なんてまだまだです」
「おや、謙遜かね?まあ、そういう所も君の長所かもしれないな」
「ご冗談がお上手で..、それより今日はなんのご用でしょうか?」
稔麿様はお忙しい方
何かの用事がないとこの屋敷に来るはずはない
「あ、ああ、忘れるとことだった。今日の夜これは大丈夫かい?」
そっと差し出される紙
この紙に記しているのは私のここでの仕事
「ええ、勿論、大丈夫ですよ」
私は紙をそっと受け取ると懐にしまう
「君には辛い役目をおわしてばかりだな」
少し落ちた表情でそういう稔麿様
「何を言ってるのですか稔麿様、最早私は天寿と思っております」
*