幕末パノラマ
第二章
紅きとんぼ
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夕やけ小やけの 赤とんぼ
負われて見たのは いつの日か
山の畑の 桑の実を
小篭に摘んだは まぼろしか
十五で姐やは 嫁に行き
お里のたよりも 絶えはてた
夕やけ小やけの 赤とんぼ
とまっているよ 竿の先
私がまだ、小学生の時だった
この曲が流れると”家へ帰る時間”という合図でいっせいに学校で遊んでいた生徒たちは家へと急いだ
私もその中の一人で家へ帰ろうとするのだが、ある一人だけはその曲がなっても帰らないで遊ぼうと私を誘う
「春〜!もう、赤とんぼなってるよ!帰ろーよー!」
「まだ、明るいじゃんか、家に帰ったらもったいねぇよ真夏!」
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