幕末パノラマ
なんど帰ろうと手を引いても春は決して音楽がなり終わる前に校門から出ることはなく、結局私はこの赤とんぼの歌詞を最後まで覚えてしまった
「しゅ...ん。」
手を伸ばせばいつも握ってくれて、私が笑うと春も笑ってくれた
とても優しく、温かい人
でも、もう会えない
生きている時が違う
それに会えたとしてももう、私は貴方の元へと帰ることは許されない
私は血に染まってる
紅き紅きとんぼ。
ふと、人の気配を感じ、スッと開く襖を横目で見ながら立ち上がる
*