このままずっと
「あーもう
恋緒、どこ行ってたの?」
教室に戻ると同じクラスの
日菜(ヒナ)がお弁当を食べていた。
「ごめんー
お昼寝してたー」
日菜は席が前で
高校に来て初めてできた友達。
黒くて綺麗な長い髪をくるくるに巻き
人形のように可愛い。
いかにも"清楚"って言葉が似合う。
モカブラウンの髪色に
ショートボブの髪型のあたしとは
正反対。
「入学早々何やってんのー
そんなことしてると
そのうち単位足りなくなるよ?」
日菜は持っている箸の先端を
あたしに向けた。
「うーん大丈夫でしょ
なんとかなる」
"なんとかなる"は
あたしの口癖かもしれない。
「まぁ、
実際こいつは
なんとかなってきてるもんなっ」
後ろを振り向くと…
いつの間に…
凛…
「教室違うじゃん
何でいるの?」
「えーだって、恋緒がさ
自分の教室に
ちゃんと戻れるのか見届けにきた」
凛はずっとにやにや笑ってる。
「あのねー
人のことバカにし過ぎー
教室ぐらいしっかり戻れるから」
なんなの、こいつ…。
その時、
「おーい、凛
ここにいたのか
これから体育館でバスケしよーぜ」
声が聞こえた方を見ると
凛のクラスメイト5、6人が
廊下に集まっていた。
「お、行くー行くー
それじゃーな」
あたしの肩にポンッと
手を置くと風のように走って行った。