手を取り合って…
雪の中の桜
《楓香》

「きれー!!!!!」


人混みをかき分けて、雪の彫刻を見に来た

しかし、隣の人は今にも閉じてしまいそうな目をこじ開けながら…


「ふぁー…………」


と、大きなあくびをした。

全く、この人は会社じゃこんなに大人しいんだから。

周りが居なくなると、別人になるくせに!!

大違いだよ!


「なに、冬島さん。その呆れながらも怒ってる顔は。おれ、なんかした?」

「ここまで来て、なんでそんなにやる気ないんですか!!もっと楽しみましょうよー!」

「雪見たってテンションあがらないよ。なんになるんだよ。こんなの見たって。」

「まったく、北海道まで来てこれですか?!社員旅行ですよ??」


そんなこと言ったら、この人はいきなり…

耳元で…


「オレは、ホテル行きたいけどな…ね?…」


ね?って言われても…

ハイとも言えないし…


「い、いきなりそんなこと言わないでください!次行きますよ!」

「ちぇー…」

「ほらほら!」

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