secret heaven〜彼らは確かにそこにいる〜



「あとどれくらいの額が残ってます?」



「……500万弱」



「へぇー!!中里はギャンブラーか何かだったんですか」




少なくとも、私の前ではそんな姿は見せていなかったけど、きっとそうだったのだと思う。



金融会社にお金を借りたい。


母の手術代と入院費が必要なんだと言っていたけど、私はまんまと騙されたってわけだ。






「ハナビシー!!ついでに600!!」




一瞬眉を潜めたクドちゃんは、大きな声をあげてから頬杖をつき私を見る。




「お姉さんさ、借りてるとこが悪徳金融って知ってた?」



「………」




薄々は気付き始めていた。


返しても返しても一向に減らない金額。


それどころか、膨らむ一方。




それでもただ黙って返していく他なかった。






< 119 / 135 >

この作品をシェア

pagetop