secret heaven〜彼らは確かにそこにいる〜
「あとどれくらいの額が残ってます?」
「……500万弱」
「へぇー!!中里はギャンブラーか何かだったんですか」
少なくとも、私の前ではそんな姿は見せていなかったけど、きっとそうだったのだと思う。
金融会社にお金を借りたい。
母の手術代と入院費が必要なんだと言っていたけど、私はまんまと騙されたってわけだ。
「ハナビシー!!ついでに600!!」
一瞬眉を潜めたクドちゃんは、大きな声をあげてから頬杖をつき私を見る。
「お姉さんさ、借りてるとこが悪徳金融って知ってた?」
「………」
薄々は気付き始めていた。
返しても返しても一向に減らない金額。
それどころか、膨らむ一方。
それでもただ黙って返していく他なかった。