secret heaven〜彼らは確かにそこにいる〜
色違い
籠の中の匂いがいつもと違う。
埃っぽくて、カビ臭い匂いがしない。
それに随分と長い時間、瞼を閉じてはいるけど一向に鉄が擦り合うあの音が聞こえない。
それどころか、ガチャガチャと何かがぶつかり合う音と水の音が聞こえる。
ついに幻聴まで聞こえるようになってしまったのか?
自らの意思で硬く閉ざした瞼を開くという行為をやめてしまっていたけど、その日は呆気なく瞼を開いてしまった。
・・・・・・えっ?
「あ!起きたっ!!」
10センチも離れてはいないであろう目の前に黒と茶色の瞳に私が映っている。