焦がれて




「じゃあね」


「ん、バイト終わったら連絡する」



陸人を見送ってから家に入る



「ただいまぁ」


玄関に入っていつもと違う様子に気づく



「え、」


男物の靴。お父さんのじゃない、きれいに磨かれたローファー。


もしかして、


「ヨウちゃん!!!」


急いでリビングを開けるとそこには予想通りの姿



あたしの兄とは思えないほどの身長の高さ。


「笑」


ギュッと抱きつくとヨウちゃんの愛用してる甘い香水の香り


その香りは甘い雰囲気のヨウちゃんにはよく似合う。だけど何の香水なのか、聞いても絶対教えてくれない。




「いつ帰ってきたの?あたし聞いてなかったよ」


一人暮らしをするヨウちゃんは大学生であんまり家に帰ってこない



「さっきだよ。母さんには言っといたんだけどな」


「あら、言ってなかったわねー。忘れてたわ。」


うふ、と笑うママは絶対確信犯



ヨウちゃんはお兄ちゃん気質で結構甘やかしてくれる。だからあたしはお兄ちゃんっ子といっていい。



< 175 / 191 >

この作品をシェア

pagetop