焦がれて


寝息を立て始めたヨウちゃんに本当に諦めて部屋をでる


向かうのは隣の部屋。扉を開け一歩踏み入れた瞬間に広がるあの甘い香り。



なんだかんだで許しちゃうのはこの部屋の香りが好きだから



この部屋はヨウちゃんがいないときはただの部屋になる。なのに、主人が帰ってきた途端香りだす。


ヨウちゃんの香りが移るからなのか、はたまた帰ってくるたびヨウちゃんが香水を振りまいてるのか。



布団にこそこそと入り込む。この香りに包まれて眠れるのはヨウちゃんが帰ってきた時だけ。



「ふぅ」


思わずため息が漏れる


物心ついた頃にはこの香りがヨウちゃんの香りだったなぁ


うとうとと、瞼が重たくなってくる




ヨウちゃん絶対陸人のこと紹介しろって言うだろうな、とか明日のことを考えているといつの間にか眠りについていた



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