焦がれて


「…」


「帰っかー」


私が鞄を持ったのを確認して立ち上がるショウヘイ君



「…」


言葉が出ない



「…ん、どうした?帰んねーの?」


「あの、」


言わなきゃ


「あたし、今日は…」


ずっと逃げてた


見てるだけでいいって逃げてきた


幸せな恋がいいって逃げようとした


そんな私に舞い降りた幸せ


自分で掴んだものじゃない
 


だからせめて

逃げようとした罰は受けよう



それがショウヘイ君から嫌われることだというのなら





< 43 / 191 >

この作品をシェア

pagetop