焦がれて




「今日、あたし…あたし田嶋くんと、帰る」


震える声を誤魔化すように下を見る



「…は?」


降ってくるのは意味がわからないというような声




「待っててもらってたのに、ごめんなさい」


歯を食いしばって頭を下げる



そうじゃなきゃ泣いちゃいそうで


罪悪感に押しつぶされそうで




「どーゆうこと」


「っ」


「なぁ、田嶋と帰るって何?」


「ごめん、なさい」


「何だよっ、ごめんなさいって!」




少し大きくなる声に肩が大袈裟に揺れた


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