焦がれて
それでも動けずにいた私を動かしたのは、切ない声だった
「頼むから、さ。…これ以上、一緒に居たくねぇんだってっ!」
私はその悲痛な叫びに教室を出ることしかできなかった
それから少しの間動けずにいたが、田嶋くんが待っているのを思い出して急いで玄関へ向う
昇降口を出たところで目に映る人影
「おせーし」
そう言って近づいてきた田嶋は私の頭をポンポンっと撫でた
真っ赤な目にも、何も触れない彼
まるで労うように、元気付けるように頭だけを撫でてくれた
その優しい手にまた涙があふれだす
その手はただ黙って、泣き続ける私を撫でてくれた