アンチ☆ファミリアルラブ
「な、にして…?」
突拍子もない行動に驚いて、俺は起き上がろうと上半身を浮き上がらせた
が、それは湊ちゃんの手によって遮られ、それどころか、
湊ちゃんは俺のシャツの襟へと手をやった。
俺は襟を締め付けられるのかと思い身構えた。
予想は外れ、湊ちゃんはシャツのボタンを外しにかかった。
何をしたいのか訳がわからず、呆けっとしている間に二つ目のボタンを外した湊ちゃんは俺の首元へと顔を埋めた。
「お、おい…?」
「―――知りたいんでしょ?」
俺の首元で湊ちゃんは囁くように言った
「え…?」
「なんであそこに居たか…知りたいんでしょ?」
「それ、は…そうだけど、この体勢と何の関係が?と、りあえず上から退いてくれないか?」
この体勢は非常によろしくない。退かせようと湊ちゃんの肩に手を置き押し退けようとした。
が、湊ちゃんの言葉に俺の手は止まった。
「関係…あるよ、こういう事する為にあそこに居たんだもん」
「は?何言って…?」
湊ちゃんの言っている言葉の意味が分からなかった。
「だ、からあそこに居た理由だよ!!」
――いや、わからない訳じゃない。
理解したくないんだ。
「あ、あぁ、プロレスごっこする為…とか」
わかってるのに、ワザと茶化して誤魔化すようなことを言ってみる。
――知りたくない。
「ちっ、がう!!男と女がこういう体勢ですることって一つしかないでしょ?」