アンチ☆ファミリアルラブ
言って湊ちゃんは、俺の首筋に唇を当てた。
「!!」
――うわ、柔らか…
まるで当たっているのかわからなくなるほど優しく唇を当てていた。
あまりに柔らかすぎて、全神経がそちらに集中してしまう。
「み、なとちゃんっ…」
マズいと思い、理性を働かせようと、授業風景を思い出そうと努力した。
が、思い出すのは、あの柔らかそうな神谷先生の豊満な胸だった。
思わず連想してしまったのだ。
如何せん、それがマズかった。
俺の下半身が見事に反応してしまったのだ。
それを湊ちゃんに悟られたら一巻の終わりだ。
突如カチャカチャという金属音が耳に入り、俺は下半身に目をやってギョッとした。
あろうことか湊ちゃんの手が俺の腰ベルトを外そうとしていた。
「ちょ、湊ちゃん!!ヤメ…、っいい加減にしなさい!!」
「あっ…」
湊ちゃんの肩を掴んで思いっきり引き剥がした。
力が入りすぎて、湊ちゃんは後ろに尻餅をついた。
「あ…ごめんね。でもこんなことしちゃだめだ。そんな軽率なことしてたら君が痛い目見ちゃうんだよ?男はみんな良い奴ばかりじゃないんだから」
起き上がらせようと手を差し出した。
差し出した手はバシリと払いのけられた。
「うるっさいっ!!何、また説教するの?子供扱いして…。
どういう事しようと別に関係ないでしょ、『先生』には。あ、もしかして、『兄』だから関係あるとか言っちゃう?血ぃ繋がってないんだから関係ないぢゃん!!」
湊ちゃんの今まで見たことのない勢いと言葉に驚いた。
それと同時に俺の中でプッツンと何かが切れた気がした。
それは、彼女の今までに見たことのない態度にか、彼女の言葉にか、もしくは先ほどまでの彼女の行動がキッカケか自分でもわからなかった。
ただ、何か、何かが、腹の中で爆ぜたような感情で……
気付けば俺は彼女を押し倒していた―――