アンチ☆ファミリアルラブ



「ふぃー、スッキリしたー!ハンカチ、ハンカチっと…」


ハンカチで手を拭きながらエレベーターに向かった。



「レストランって、やっぱフレンチかなー?やっば、作法わかんないぢゃん…」


そんなことを一人呟きながら歩いていると、
静かなロビーに騒がしい靴音が響いた。


場違いな靴音に思わず振り向くと
その瞬間、何かにぶつかり
その衝撃に踏みとどまれず、尻餅をついてしまった。



「いったー…!?何…」


「うわうわ、ごめんね!?大丈夫かい?立てる?」


「え?」


頭上から声をかけられ見上げると、
男の人が心配そうな顔で見つめ手を差し出して来た。



「あ、ども…」

その手を掴み、立ち上がる。

「ホントごめんね、痛い所ない?大丈夫?」

「あ、いえ。お尻が痛いくらいで別に…大丈夫、です」


あ、よく見ると、イケメンかも。
17歳くらいかなぁ?



「そう…?あ、君もエレベーター?ちょうど来たみたいだね」


「あ、はい」

「どうぞ、可愛いお嬢さん」


そう言って男の人は、エレベーターの入口を押さえ、
まるでお姫さまみたいにエスコートしてくれた。

「ありがとーゴザイマス」


照れ臭くて、思わず笑ってしまった。


「何階?」

「あ、23階お願いします」


「奇遇だね、俺も23階だよ。君、いくつ?」


「あ、11歳です。お兄さんは?」

「俺は今年二十歳だよ。あれ?一人で来たの...ってな訳ないよね。
親御さんは?もしかして迷子だったりする?」




< 2 / 16 >

この作品をシェア

pagetop