アンチ☆ファミリアルラブ


「ちっ、違いますっ!!迷子ぢゃないっ!
今日はママとママの再婚相手の人と会うから…ちょっと気をきかせて二人っきりにするために離れただけで…」


「わー、ごめんごめん!そか、まだそんな歳なのに気ぃ回すとか偉いなぁ!そかそかー…でも、俺と一緒だね。俺も今日は親父の再婚相手のヒトと会うんだ。」



一緒だ…。
まさか…ね。
ママ、何も言って無かったしなぁ。




「もし、相手の方にお子さんが居て、君みたいな可愛い子が妹になるなら毎日楽しいだろうね」


「え…?」


そう言って男の人は笑った。
穏やかに笑う笑顔に、ドキドキした。



――あたしは兄より、恋人のほうがいいな…

ドキドキし始めた胸を押さえて、そう思った。



「あ、着いたね。どうぞ?」



――あ、名前っ!聞かなきゃ…!



「あ、あのっ、名前ーーー」


「あ!!湊っ、遅いから心配したのよ!?」


ママと再婚相手のヒトは
レストランに入らず、レストラン前で待っていてくれたようで、エレベーターを降りてすぐママはあたしに気づいた。



「あ…」




「隆尚!!やっと来たか!待ちくたびれたぞ。まぁ、無事に着いたなら良いか…」



再婚相手のヒトが、あたしの後ろに話しかけた。



「ごめんよ、父さん。サークルの集まりが長引いちゃってさ…」

「え…?」

“父さん”って…


「あら?隆尚くんも一緒だったの?本人に会うのは初めてね。はじめまして、日向文乃です。あ、この子私の愛娘よ!湊、和久さんの息子さんの隆尚くん、今日からお兄ちゃんになるのよ」




うそ……
うそうそうそうそうそーーーー!?


出会って数分で失恋決定だなんて…

それも、初恋だったのに…最低。



それから、あたしの複雑な気持ちをよそに、ママたちは結婚し、


あたしたちは兄妹となった。


約5年が過ぎ、
『お兄ちゃん』は教師となり、あたしは高校生となった。




何の因果か知らないが、彼は、あたしの担任となったのである。







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