恋する指先
前を向いて
はあ~・・・・・・
出てくるのは溜息ばかり。
いい加減嫌になってくる。
私と榛くんが幼なじみと言う噂は瞬く間に広がった。
だからって別に何かあるわけじゃない。
だからあの時一緒に帰ったんだ、って納得した人はいただろうけど。
私には別段、変わったことなんてない。
榛くんがバレたくなかった幼なじみっていう事が、みんなにバレてしまっただけ。
幼なじみって事が知れたから、話しかけてくれる訳でも、私から話しかける訳でもない。
何も昨日と変わってない、悲しいくらいに。
「前田さんと話したの?」
「え?どうして?」
放課後、珍しく部活の休みだった綾と一緒に帰る帰り道。
隣を歩く綾は、斜め上から心配そうに私を見下ろす。
「なんか、部の後輩が言ってたからさ。話したって言ってたって」
「あぁ・・・今朝、ね。階段のところで会って、それで」
思い出しながら何度目か分からない溜息をついた。
「桐生君は付き合ってるの?」
「知らない。付き合うって言ったみたいな事、前田さんは言ってたけど、本当のところは知らないし・・・・・。前田さんは付き合ってるって思ってるって言ってたけど」
彼女のはっきりと言い切った声が頭の中に甦る。
まっすぐに榛君を見つめ返しながら、視線を少しも逸らさなかった彼女。
「ふ~ん・・・どうする気なんだろうね、桐生君」
「・・・・・知らない。私には分からないし」
そう言って視線を落とした。
出てくるのは溜息ばかり。
いい加減嫌になってくる。
私と榛くんが幼なじみと言う噂は瞬く間に広がった。
だからって別に何かあるわけじゃない。
だからあの時一緒に帰ったんだ、って納得した人はいただろうけど。
私には別段、変わったことなんてない。
榛くんがバレたくなかった幼なじみっていう事が、みんなにバレてしまっただけ。
幼なじみって事が知れたから、話しかけてくれる訳でも、私から話しかける訳でもない。
何も昨日と変わってない、悲しいくらいに。
「前田さんと話したの?」
「え?どうして?」
放課後、珍しく部活の休みだった綾と一緒に帰る帰り道。
隣を歩く綾は、斜め上から心配そうに私を見下ろす。
「なんか、部の後輩が言ってたからさ。話したって言ってたって」
「あぁ・・・今朝、ね。階段のところで会って、それで」
思い出しながら何度目か分からない溜息をついた。
「桐生君は付き合ってるの?」
「知らない。付き合うって言ったみたいな事、前田さんは言ってたけど、本当のところは知らないし・・・・・。前田さんは付き合ってるって思ってるって言ってたけど」
彼女のはっきりと言い切った声が頭の中に甦る。
まっすぐに榛君を見つめ返しながら、視線を少しも逸らさなかった彼女。
「ふ~ん・・・どうする気なんだろうね、桐生君」
「・・・・・知らない。私には分からないし」
そう言って視線を落とした。