俺の幼馴染が鈍感過ぎる
「本気で…言ってるのか?」
慎重に問うと、コクンと頷く。
「燈が…好きなのか?」
問うと、ゆうは少し悩んだ末、口を開いた。
「好きかは…。ぃゃ…別に、なみには関係無いでしょう⁉」
まぁ、確かに…人の恋路を邪魔するやつは、馬に蹴られてしまえと言うし…言うのか?
そして、納得すんなよ俺!
「そ、それにほら、燈ちゃんはイケメンだし。イケメンに悪い人はいないんだよ?」
えっ、そうなのか?
じゃあ、ゆうに結構悪い悪戯してきた俺って…
って、そうじゃねぇだろ!
「顔、か?」
燈の方をみると、顔が引きつっている。
なんと言うか…お気の毒に?
「イケメンだもん…」
おい、イケメンに騙されんなよ!
「そ、それに。なみとは違って、ちゃんと告白してくれたし」
いや、俺もいつもしてんだけど。
伝わってません?
まぁ、伝わってたらもう少し考えてくれたりするよな。
「と、とにかく!もう付き合う事に決めたの‼」
燈は、勝ち誇ったように微笑んでる。
ムカつく。
なんなんだよ。
数年間帰ってこなかったくせに、帰ってきたと思ったら人の好きな女とりやがって。
正当(当然)な怒りを燈に向けるが、素知らぬ顔だ。
「なぁ、優明」
「なぁに?燈ちゃん」
俺に向けるのとは違う笑顔で、声を掛ける燈を振り返る。
「そろそろ、燈ちゃんって呼ぶのやめてくれる?」
おーい、燈ちゃん。顔が引きつってますよー。
「何で?まぁ…いいけど。何て呼べばいいの?」
「オレの事は呼び捨てにして」
今までずっと燈ちゃんと呼んできたんた。そう簡単に変えられるゆうじゃない。
ゆうは、複雑そうな顔をしつつ、頷いた。
「オレら、付き合う事になったから」
大声で宣言したのは燈で、クラスのやつらに向かって言っている。
女子の視線が、ゆうに集まった。