俺の幼馴染が鈍感過ぎる

この視線は知っている。

俺とゆうが付き合ってすぐにもゆうに集まった視線だ。

要するに、「抜け駆けしてんじゃないわよ!クラスのアイドル、里くんをとらないで」みたいなとっても痛い視線。

俺の時と同じか、俺の時よりも多い視線。

俺の時より視線多いって…俺より、燈の方がいいってか?

「どう言う事⁈優明は、里くんと付き合ってたんじゃないの⁈ってか、そのイケメン誰よ⁈」

案の定、一人の女子が前に出て叫び始めた。

一人が叫べば周りも叫ぶ。

いくら日本人が集団心理だからって、集団心理の影響あり過ぎじゃねぇの?

俺は男子だから、女子のそう言うところは苦手で、何も言えない。

だけど、もちろんゆうと付き合ってた時は、俺がどうにかしなきゃって思って、女子の嫌がらせを無くそうと頑張ってた。

ゆうの方を見れば、ゆうもまた女子に圧倒されているみたいだ。

燈。ゆうの彼氏になるってんなら、お前がどうにかしろよ。

「ねぇ、優明‼無視してんじゃないわよ!」

一番最初に騒ぎ出した女子が、ゆうにまた一歩近づいた。

やばい。

あれ以上はまずいと思った時、チャイムがなった。

キーンコーンカーンコーン…

ガラガラ…

さらに、担任も教室に入ってきて、騒いでいた女子も蟻の子を散らすように各々の席に戻って行った。

ホッとして、俺も自分の席に座った。
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