俺の幼馴染が鈍感過ぎる
「ボクは、あれに乗る。燈は?」
オレは別にどっちでもいいが…この場合、そんな事を言ったらハルがもっと不機嫌になるだろうな。
「ハルが乗りたいんなら、オレも乗るよ」
微笑めば、何と無くまだ不機嫌なハルが頷いた。
ゆっくりとベンチから立ち上がり、観覧車に向かう。
もうすっかり暗いせいか、ほとんど観覧車に並んでいる人はいない。
すぐに順番がきて、乗る。
ゆっくりと空を登る丸い箱。
ライトアップされたジェットコースターが見える。
遠くに見えるのは、住宅の明かり。
丸い箱の中は、ハルとオレの呼吸の音しかしない。
無言で、静かな空間だが…居心地は良かった。
もうすぐ頂上。
そう思った時、向かい側に座っていたハルが立ち上がり、俺の目の前に立った。