とけていく…
「涼だって、あの子と付き合ってるんでしょ? 雄介に聞いたんだ。『あいつらの水をさすようなことをしないであげてくれ』って言われちゃった」

 真紀は、小さく笑った。

「あいつ、結構しっかり者だっのね。ただのお調子者だと思ってたんだけど。ちゃんと五百円分の情報しかくれなかったしね!」

 笑いながら、真紀は涙を拭っていた。涼は驚き、目を見張る。

「あたしね、涼には笑ってほしかったの。笑ってくれるなら、お姉さんの代わりくらいできるかなーって。でも、ホントに訳アリだっから、びっくりしちゃった」
 涼には、笑いながら涙を流す真紀が、本心を言っているのか解らなかった。

 その涙は、何を意味する?

 なぜ、泣く?

「…正樹さんのこと、好きなの?」

 涼は、強い視線を真紀に浴びせ彼女の手首を掴んでいた。掴まれた痛みで、真紀の顔が歪んだ。

「痛いよ、涼…」

「答えてよ」

 感情がむき出しになっている涼に、真紀は恐る恐る彼の目を見つめた。それでも気丈に口を開く。

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