とけていく…
今の時間は、午後1時ぴったりだ。しかし、真由美の姿は見えない。改めて、今いる場所から後ろに立っている大きな校舎を見上げてみた。夏休みなのだからなのだろうか、キャンパス内にいる人は、まばらだった。
(それにしても、先生遅ぇなー…)
涼は周りを見渡してみる。やはり、真由美の姿はなかった。
(まさか、このまますっぽかされるなんて…)
大雑把な性格の真由美は、あれでも売れっ子のピアニストだ。常に時間に追われているはずだ。ひょっとしたら忘れているかもしれない。彼は、小さくため息を吐いた。そんな時だった。
「あれ、鳥海くんじゃないか」
どこかで聞いたことのある声が彼の耳を掠めた。あまりよい予感がしない…、そう思って振り向くのを躊躇していると、「おいおい、いくら嫌いだからって、無視するなよ」と、背後から肩をぽんと叩かれた。
(それにしても、先生遅ぇなー…)
涼は周りを見渡してみる。やはり、真由美の姿はなかった。
(まさか、このまますっぽかされるなんて…)
大雑把な性格の真由美は、あれでも売れっ子のピアニストだ。常に時間に追われているはずだ。ひょっとしたら忘れているかもしれない。彼は、小さくため息を吐いた。そんな時だった。
「あれ、鳥海くんじゃないか」
どこかで聞いたことのある声が彼の耳を掠めた。あまりよい予感がしない…、そう思って振り向くのを躊躇していると、「おいおい、いくら嫌いだからって、無視するなよ」と、背後から肩をぽんと叩かれた。