とけていく…
 翌日、涼は学校に向かっていた。職員室のドアを勢いよく開けると、彼の担任は自分の机でパソコンに向かっていた。背後に気配を感じ、振り向いた時、涼の存在に気づいた担任は、びっくりしながら「あれ、鳥海、どうしたんだ?」と口にした。

「先生、卒業に響かないくらいの休学ってどれくらいできるの?」

 突然の彼の申し出に、職員室には稲妻のごとく衝撃が走っていた。



 その足で、涼は体育館に向かった。さすがに公立高校の体育館は、冷暖房が完備されているはずはなく、予想以上に蒸し暑かった。そんな環境でも、バスケ部はいつも通り練習していた。というか、そんな環境なのに、見学している女子がたくさんいることに少しびっくりした。

「高原せんぱーい!!」

 それは、ギャラリーからの雄介への黄色い声援だ。ドリブルするボールの音とバッシューが床に擦れる音が入り交じる中、声を響かせながら行われている練習風景は、それは活気のあるものだった。さすが、インターハイに出場するだけのチームである。

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