とけていく…
「…あ、そうそう」

 口の周りをケチャップだらけにした雄介が振り返りながら涼に話しかける。

「お前、体、大丈夫?」

「は? あぁ、まぁ…」

「なら、いいわ」

 雄介はあっさりと今の話題を切り上げると、再び食に走る。涼は、眉間にシワを寄せた。

「何だよ、それ」

 雄介の向いに座り、涼は彼に理由を尋ねる。

「伝言なのよ。先輩から」

 すると、涼の眉間のシワが無くなり、彼は目を伏せた。

「…そっか」

 短く答えると、その姿勢のまま涼は口を開く。

「元気…?」

「おぉ。有り余るくらい」

 雄介は右手の拳を上に突き上げる動作を二、三回して、それをアピールする。涼は、再び眉間にシワを寄せ、「…お前ぇじゃねぇし」と突っ込むと、あからさまに溜息を吐いた。

「…気になるなら、自分で聞けや」

 食べながら、手で電話する仕草をして、雄介は言った。涼は、雄介から目を逸らすように立ち上がり、窓際のソファに腰をおろした。

「いや… いいんだ」

 首を横に振り、そのままソファの背もたれに首をうずめて上を向いた。

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