とけていく…
その時、涼の心がボロボロになっていることを、真紀は一瞬で悟っていた。以前図書館で会った時よりも痩せこけた姿で現れた彼は、明らかに無理をしている、真紀はそう思わずにはいられなかった。

「…少しだけ、こうしててもいい? それだけでいいから…」

 目を閉じ、二人にしか聞こえないほどの小さな声で涼は言った。真紀は黙ってうなずいた。彼女には、そうしてあげることしかできなかったのだ。

 街の喧騒が遠くから聞こえてくる。星の降る夜空の下は、吐く息は白く輝いて見える。そんな凛と冷える橋の上で、二人はしばらくそのまま佇んでいた。
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