とけていく…
十八.
「遅いわね…」

 ホールの入り口でそわそわしながら真由美が立っていた。集合時間はとっくに過ぎている。

「逃げたんですかね、彼…」

 正装した正樹が隣で呟いた。

「…そんなわけないでしょう」

 真由美は携帯を取り出し、電話をかけたのだが、すぐに閉じた。

「…出ない。何やってるの、もう…!」

 イライラを隠せない彼女は大股で中に入っていった。

「…あのヤロ」

 誰にも聞こえない声で、正樹はそう口にした。

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