とけていく…
「涼くん!!」
ロビーで行ったり来たりしていた真由美が、姿を現した彼に駆け寄ってきた。
「何よ、その格好!! 正装だって言ったでしょ?!」
デニムパンツにスウェットのパーカー姿の彼を見るなり、ヒステリックに叫ぶ真由美だったが、彼の涙の跡だらけの顔を見ると、察したようだった。
「まさか…、お亡くなりになったの…?」
彼女はそっと尋ねると、彼は黙ってうなずいた。
「…そう 残念だったわね」
真由美はそう言って、涼を抱きしめ、「…でも、気丈になりなさい。今だけでいいから」と、その胸の中で、母親のように彼に言い聞かせていた。涼は、その暖かさに何度もうなずいた。
「今、休憩中なのよ。間もなく後半が始まるわ。出られるように、ちゃんと話してくる」
彼から離れ、真由美は足早に奥へと向かって行った。涼はロビーのソファに腰を下ろした。彼の体はうずうずしていた。弾きたくて弾きたくて仕方がなかったのだ。しかし、真由美はなかなか現れない。遅刻した者の出場について揉めているのだろうか。
ロビーで行ったり来たりしていた真由美が、姿を現した彼に駆け寄ってきた。
「何よ、その格好!! 正装だって言ったでしょ?!」
デニムパンツにスウェットのパーカー姿の彼を見るなり、ヒステリックに叫ぶ真由美だったが、彼の涙の跡だらけの顔を見ると、察したようだった。
「まさか…、お亡くなりになったの…?」
彼女はそっと尋ねると、彼は黙ってうなずいた。
「…そう 残念だったわね」
真由美はそう言って、涼を抱きしめ、「…でも、気丈になりなさい。今だけでいいから」と、その胸の中で、母親のように彼に言い聞かせていた。涼は、その暖かさに何度もうなずいた。
「今、休憩中なのよ。間もなく後半が始まるわ。出られるように、ちゃんと話してくる」
彼から離れ、真由美は足早に奥へと向かって行った。涼はロビーのソファに腰を下ろした。彼の体はうずうずしていた。弾きたくて弾きたくて仕方がなかったのだ。しかし、真由美はなかなか現れない。遅刻した者の出場について揉めているのだろうか。