とけていく…
 俺は、幸せ者だ。

 愛する人もいて、母親もできた。

 この先、どんな未来があるのか、それはわからないけど、俺はきっともうピアノしかなくて、どんなことがあってももう手放すことなどできないだろう。

 俺は…、幸せ者だ…

「涼、幸せそう」

 彼の背中を見て、真紀の呟く声が聞こえた。

(幸せなんだよ。すごく、幸せなんだ…)

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