とけていく…
「キケロは、バッハの曲をアレンジしたアルバムで、有名なんだ。」
そう言って、マスターはカウンターの下にあるCDの棚から、アルバムを取
り出した。
「聞いてみる?」
涼が小さくうなずくと、マスターはカウンター内で屈み、小さくなりながらオーディオにCDをセットした。しばらくすると、聞き覚えのあるお馴染みのメロディから始まった。
「…キラキラ星?」
「そう。これは、モーツアルトのキラキラ星変奏曲をジャズにアレンジしたものだよ。僕は、バッハの作品より、こっちの方が好きでさー」
その空間にいた三人は、スピーカーから流れ出る優しいメロディに耳を傾けていた。その曲は、優しい感じから弾けるようなアップテンポに流れていく。滑らかな旋律に、涼は勝手に体が踊り出せと言わんばかりに反応していた。軽快なリズムが、心を明るく軽くするような六分間だった。
「あのピアノは、店の雰囲気を出すために知り合いから譲り受けたものでね。ここ何十年もただあそこに置いたまま、誰も弾かなかったんだ。でも甥がちゃんと調律したら使えるからって、調律の手配をしてくれてね。音も、悪くないじゃない」
マスターの言葉に、彼は素直にうなずいていた。
そう言って、マスターはカウンターの下にあるCDの棚から、アルバムを取
り出した。
「聞いてみる?」
涼が小さくうなずくと、マスターはカウンター内で屈み、小さくなりながらオーディオにCDをセットした。しばらくすると、聞き覚えのあるお馴染みのメロディから始まった。
「…キラキラ星?」
「そう。これは、モーツアルトのキラキラ星変奏曲をジャズにアレンジしたものだよ。僕は、バッハの作品より、こっちの方が好きでさー」
その空間にいた三人は、スピーカーから流れ出る優しいメロディに耳を傾けていた。その曲は、優しい感じから弾けるようなアップテンポに流れていく。滑らかな旋律に、涼は勝手に体が踊り出せと言わんばかりに反応していた。軽快なリズムが、心を明るく軽くするような六分間だった。
「あのピアノは、店の雰囲気を出すために知り合いから譲り受けたものでね。ここ何十年もただあそこに置いたまま、誰も弾かなかったんだ。でも甥がちゃんと調律したら使えるからって、調律の手配をしてくれてね。音も、悪くないじゃない」
マスターの言葉に、彼は素直にうなずいていた。