とけていく…
なんの予定もない暇な土曜の朝。窓越しから聞こえる雨音を聞きながら、窓に写る自分の顔が目に入る。情けない男の顔がそこにあった。彼はそれを振り払うようにして、カーテンから手を放した。
借りてきたキケロのCDが、床に置きっ放しのカバンから半分だけはみ出していた。うっかり踏んづけて割ってしまったら大変だと思い、彼は重たい体を起こして、CDを拾い上げた。
(無駄、だったかな…)
ジャケットからディスクを取り出すと、七色に光る。それは何の矛盾もなかった。彼はそのディスクをオーディオにセットし、再生ボタンを押した。
風のように流れるメロディに耳を傾けていると、不意に正樹の顔が浮かんでいた。
「クソっ…」
苛立ちを抑えられず、乱暴にオーディオのスイッチを切ると、彼はソファにどっかりと横になった。
足を乗せたローテーブルを挟み、彼の視線の先には黒光りするグランドピアノがあった。触る気も起きず、ただ眺めているだけだった。
脳裏には、昨日の光景が浮かんでいた。
余裕な顔で挑発する雅樹の目に、あの時の俺はどう映ってた?
彼はさっきからそんなことばかり考えていた。それはもう、堂々巡りだった。
借りてきたキケロのCDが、床に置きっ放しのカバンから半分だけはみ出していた。うっかり踏んづけて割ってしまったら大変だと思い、彼は重たい体を起こして、CDを拾い上げた。
(無駄、だったかな…)
ジャケットからディスクを取り出すと、七色に光る。それは何の矛盾もなかった。彼はそのディスクをオーディオにセットし、再生ボタンを押した。
風のように流れるメロディに耳を傾けていると、不意に正樹の顔が浮かんでいた。
「クソっ…」
苛立ちを抑えられず、乱暴にオーディオのスイッチを切ると、彼はソファにどっかりと横になった。
足を乗せたローテーブルを挟み、彼の視線の先には黒光りするグランドピアノがあった。触る気も起きず、ただ眺めているだけだった。
脳裏には、昨日の光景が浮かんでいた。
余裕な顔で挑発する雅樹の目に、あの時の俺はどう映ってた?
彼はさっきからそんなことばかり考えていた。それはもう、堂々巡りだった。