とけていく…
 空はもうオレンジ色に焼けており、辺りはもう薄暗くなっていた。地元まで戻って来た二人は、自動改札を抜け別れようとしていたところだった。

「ねぇ、また遊べるかな?」

 お互いの道を行こうとした時、紫は不意に立ち止まり、そう言った。

「いいよ。今度は雄介とか他の連中も一緒さ」

 涼がそう提案すると紫は苦笑いを浮かべていた。

「そうじゃなくて、ふた…」

 彼女がそう言いかけた時、「あれ〜、涼じゃん!」と彼の背後から声をかけられ、遮られてしまった。

 名前を呼ばれた彼は、つい振り返ってしまう。そこには、駅前のスーパーのロゴの入ったレジ袋を下げた真紀の姿があったのだ。

「…なんだ」

 ヤなヤツと会っちゃった、と言わんばかりの顔をしている涼を見て、真紀は彼の腹にすかさず蹴りをいれてきた。

「ゔっ、何すんだよ! 捻挫してるくせに」

 昨日、あれだけ二人乗りをさせられたのに、恩を仇で返された涼は、大袈裟によろめいた。とっさに紫が彼の体を手で支えた。

「昨日、あんなに落ち込んで帰って行ったから心配してたけど、大丈夫みたいね。ちょっと損した気分」

 真紀は、わざとらしく自分の腹をさすっている涼に、口を尖らせていた。

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