とけていく…
一.
 四月に入り、あんなに見事だった桜は、青々とした葉っぱで覆われていた。

 いつもの通学路。いつもと同じように、涼は木漏れ日を浴びながら、自転車で通り抜けていた。

 裏門から入り、いつもの位置に自転車を停めると、中庭に向かった。中庭は、すでに人だかりができている。彼も迷わずその中に混じった。そして、貼り出されているクラスを確認した。

「あ…」

 貼り出されたクラス分け表を見た時、思わず声を漏らした。今年もまた雄介と一緒のようだ。

 彼は辺りを見渡し、人集りの中から雄介を探す。旧校舎と新校舎を繋ぐ渡り廊下の辺りで他の友達と話しをしている雄介の肩を、涼は後ろから軽く叩いた。

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