とけていく…
六.
「ふっかーつ!」

 爽やかな朝。のハズだったのに、と涼は思っていた。

 いつものコンビニで昼を買ってから店を出ると、真紀が彼の自転車の荷台に座っていたのだ。

「復活なんか、しなきゃいいのに」

 いつもは心の中で毒を吐いていた涼だったが、今朝は実際に口に出していた。そして、仕返しに備え、警戒する。

「涼のピアノが力をくれたの!」

 いつものような悪魔の笑みとは違い、心の底からの笑顔で嬉しそうに真紀は言った。そんな彼女を目の当たりにし、涼は急に力が抜けていった。

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