とけていく…
自転車に鍵を挿し、駐輪場から動かすと、彼は裏門のそばでサドルにまたがったまま辺りを見渡していた。
(どうせ行き先が同じなんだから、とか言って乗ってくんだろ…)
もはや、選択の余地など彼にはない。不本意ではあったが、涼は真紀が姿を現すのを待っていた。しかし、裏門を通る生徒の中に、真紀の姿は見当たらなかった。携帯で時間を確認する。待ち始めてからもう三〇分は経っていた。
(正門から帰ったのかな…)
涼は諦めて自転車を走らせようと、ペダルに乗せた足に力を入れた。その時だ。誰かが背後で叫んでいる声が聞こえて来たのだ。その声に耳を傾けてみると、自分が呼ばれていると気づき、振り返えった。すると彼の視線の先には、クラスメイトの夏野が大手を振って叫んでいたのだ。
「鳥海! 正門にお客さん!」
「はぁ?」
「正門に回れ!」
夏野は、宙を指でなぞりながら叫んでいた。涼は首を傾げながら裏門に入り、正門に向かってゆっくりとペダルを漕いだ。
(どうせ行き先が同じなんだから、とか言って乗ってくんだろ…)
もはや、選択の余地など彼にはない。不本意ではあったが、涼は真紀が姿を現すのを待っていた。しかし、裏門を通る生徒の中に、真紀の姿は見当たらなかった。携帯で時間を確認する。待ち始めてからもう三〇分は経っていた。
(正門から帰ったのかな…)
涼は諦めて自転車を走らせようと、ペダルに乗せた足に力を入れた。その時だ。誰かが背後で叫んでいる声が聞こえて来たのだ。その声に耳を傾けてみると、自分が呼ばれていると気づき、振り返えった。すると彼の視線の先には、クラスメイトの夏野が大手を振って叫んでいたのだ。
「鳥海! 正門にお客さん!」
「はぁ?」
「正門に回れ!」
夏野は、宙を指でなぞりながら叫んでいた。涼は首を傾げながら裏門に入り、正門に向かってゆっくりとペダルを漕いだ。