とけていく…
「てかさ、いつも当然のように帰ってるけど、部活は?」

 下駄箱を抜け、裏門の駐輪場に向かい、並んで歩く真紀に涼は尋ねた。

「あぁ。あたしもねー、あんた達とおんなじ理由で入部したから、文化祭の時だけでいいの」

「いい加減だなー、部長のクセに」

「涼も雄介も、文化祭で展示する絵だけは描いてもらうから。ヨロシクね」

 彼の言うことなど完全に無視して、真紀は言いたいことを言う。

「やる気ねぇんだな。」

 涼は鼻で笑った。

「あたしも今年は受験生だし? 細かいことは気にしなーいっ」

 彼の背中をバシっと叩く真紀は、こどものような笑い声を辺りに響かせていた。
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