とけていく…
「真紀? どうかした?」

その頃、真紀の目の前で、カウンター越しに座っている正樹は軽く手を振ってみせた。

「わっ… ビックリした…」

 はっと我に返った真紀は、目を大きく開いて正樹を見た。

「何をそんなに考え込んでるわけ?」

 彼は、さっきから心そこにあらずの真紀を不思議そうに見ていた。

「ごめん… 別になんでもない…」

 真紀は笑ってみせたが、正樹にはどことなく寂しさが混じっているように見えていた。

「なんで謝るんだよ」

 苦笑しながら彼は真紀に突っ込むと、彼女もつられて笑っていた。

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