とけていく…
九.
 家の中で、洗濯機の音がグォングォンと唸る機会音が鳴り響いていた。この1年の間に『主夫』が板についた彼は、少し早起きをしてベッドのシーツやら布団カバーやらをまとめて洗濯機に放り込んだ。そして、手際良くベランダの窓を開けると、広がる雲一つないその空を仰いでみた。

 眩しい太陽の光の中、鳥のさえずりが聞こえる。朝の八時頃であったが、すでに外は不快なほど気温が上がっており、絶好の洗濯日和だった。

 一方、雄介の所属するバスケ部は、無事に予選を勝ち抜き、八月上旬に行われるインターハイを控えて、夏休み中も休みなしの状態が続いていた。それぞれ違った夏休みを過ごしている彼らだった。

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