待つ空

「それでも、あなたが毎週ここに来てくれるのを楽しみにしていたから。
寂しくなるわねぇ」

心にもないことを言うな。
視界に変なヤンキー女が写らなくなって清々するんだろう。

捻くれたことを思いながら、私はやはり振り返ろうとは思わなかった。

「バイトが、やっと見付かったんです。
金髪でも中卒でも雇ってくれるとこ」

私がボソボソと言うと、女性は「まぁ!」と嬉しそうな声を作ってくれる。

「それはそれは、良かったわね」

女性は私のバイト先を聞き出そうとしていたけれど、私はいつも通り口を噤んだままでいた。

1年間、どんな悪天候の時も、毎週欠かさずここに通った。
面倒だったし疲れる作業だったけれど、草を抜き続けた。
社会に参加しているような気がして、自分でも役に立てているような気がして、少し安心していた。

それだけ有意義な時間を過ごしておきながら、バイト先がリフレだなんて、とても口にすることはできなかった。
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