ロスト・プリンセス
柚樹side
何でかな。
『待ってるから。柚樹のこといつまでも待ってる』
涼介が言ってくれたあの言葉。
思い出すだけで、どんなに辛くてもこの2週間耐えてこれた。
父「いよいよお披露目パーティーだな。」
ゆ「……」
父「報道陣も来ることになってるようだから、しっかりやりなさい。斎藤家の未来のために。いいな?」
ゆ「…はい…」
報道陣まで来るんだ…。でも、もう逃げない。






―翌日。パーティー会場朝から最終確認の打ち合わせや、着替えで慌ただしかった。
お昼頃ようやく会場入りがスタートした。
…緊張する…。
会場の前の方に設置してある席に、例いけ好かないの変態御曹司と並んで座った。
司会「只今より斎藤家ご令嬢と石川家ご子息の婚約お披露目パーティーを開催します。まずは…本日の主催者である斎藤家当主よりご挨拶をお願い致します。」
お父様が立ち上がってマイクを受け取り挨拶の言葉を述べ始めた。
周りの報道陣を見渡すとテレビ生中継のカメラもまわっていた。
…こんなに大きな会場で…私は…。
司会「続きましては、斎藤家ご令嬢の柚樹様より挨拶及び婚約についての想いをお願い致します」司会者の言葉と共にマイクが渡され、ゆっくりと席を立った。
…緊張で手が震える…。ゆ「…本日はお集まりいただきありがとうございます。」
あちこちから発するフラッシュが眩しい。
ゆ「…婚約相手である石川様ご一家とは父の紹介で出会いました。
私は…この婚約をお受けするつもりはありません。」
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