ロスト・プリンセス
柚樹side
ゆ「…ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。」
頭を下げた。
隣ではお父様が怒りに身体を震わせているのが分かる。
父「…しばらくの間、失礼致します。」
お父様はそう言うと私の手を掴んで会場を出ようとした。
ゆ「っ…お父様離して下さい!痛いですっ!」
父「お前は…自分がしたことを分かっているのか…?!」
お父様が怒鳴った。
会場であるホールは出たものの、まだ周りには人も取材陣も大勢いる。
父「私に恥をかかせるような真似をするな!今すぐに訂正して来い!!」
ゆ「嫌です。自分が何をしたのか、きちんと分かっているし、それが悪い事だったとは思いません。だから嫌です。」
父「私に逆らうなど…」ゆ「私はお父様の人形じゃありません!」
いい加減…分かってよ…ゆ「もうこれ以上、お父様の都合に合わせは生きてられない。さようなら。」
そう言い捨てて、その場を立ち去ろうとした時。私の目の前に…ある人の姿が飛びこんできた。
ゆ「…涼介…っ!!」
走り寄って、お互いの存在を確かめ合うかの様に抱きしめあった。
り「…会いたかった…」ゆ「私もだよっ…」
でも…幸せの瞬間はつかの間。
お父様の低い声が聞こえた。
父「高宮!今すぐにあの二人を引き離せ。柚樹を連れて屋敷に戻るぞ。」
< 40 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop