ロスト・プリンセス
…え…?
何言ってるの…?
そんな話、私何も聞いてないよ…?
父「それは…柚樹と結婚するという事かね?」
お父様が重く口を開いた。
り「あ…いえ、違います!いや…違わないですけど、えっと…その…」
焦り始めた涼介。
父「何も焦る事はないから落ち着きなさい。」
り「は、はい。」
父「君は何を考えているのか、きちんと言葉にしてくれないか?」
り「はい。まず、さっき僕が言った言葉の意味は結婚するっていう意味ではないんです。まだ柚樹さんにもプロポーズすらしてないんで。」
父「……」
り「あ、でももちろんいずれはするつもりです。絶対に。」
り「僕が言いたかったのは…僕はきちんと柚樹さんと向かい合ってお付き合いしたいんです。
だからそれを柚樹さんのご両親にも祝福してもらい。そう思って言いました。」
父「……」
母「凄く、素敵な考え方をされているのね。」
り「そうですか…?」
母「ええ、とても。」
り「ありがとうございます。」
涼介の姿を見て思った。涼介はいつも何かと向かい合おうとする。
私は自分の家族とすら向き合う事を逃げてたのに…。
父「柚樹。」
ゆ「は、はい…」
父「…お前は彼と一緒なら、本当に幸せなんだな?」
…それは…
ゆ「…それは…違います。」
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