読めない本と透明な虫
ぺら、ページを捲る。
「……え、」
もう一度手前のページを見て、今度こそ間違いなくページを捲る。
結果は変わらない。もう一度手前のページを読む。
『そうして、やがて』
ページを捲る。私は自分の目を疑った。
「どういうこと……?」
次のページは、白紙だった。何度確かめても、間違いなく白紙。『そうして、やがて』の後のページ十数枚、全て。
ぺらぺらとページを捲ったり戻したりを繰り返しながら、私は最後の一文を読む。
『そうして、やがて』
次のページは、白紙。
紙が破れているわけでもない、文字が消えているわけでもない、作者はこれを意図していたのだ。
『そうして、やがて』
泣いて泣いて泣いて、泣き切ったのなら、その先は、白紙だと。