秋恋短編集
彼女は展示場の近くにある高校のセーラー服を身に纏っている。
毎日ここに来るのは学校帰りなんだと思う。
僕の絵を飽きもせず見て回る彼女。
初めの内は物珍しかった。
現代の若い子が、毎日個展に入り浸るなんて。
だから気になってただけ。
でもその内、彼女に好奇心が湧いてきた。
そして、いつの間にか彼女の姿を追う視線の意味が変わった。
いつの間にか、彼女の姿に愛しさを感じるようになっていた。
彼女の僕の絵に向ける視線を、僕自身に向けて欲しくなっていた。
僕自身でその視線を独占したくなっていた。