秋恋短編集
☆勤勉
『次のテストで赤点だったら
留年もあるからな』
担任にそう言われたのは、ついさっきのこと。
自分でも少し危ないかなぁ…?とは思っていた。
……定期テストは毎回、全教科赤点だったし。
さすがにそんな私を見かねた担任は、私に専属の先生をつけた。
それが一宮くん。
今目の前にいる、険しい表情の彼。
「…ごめんね?一宮くん。
私、本当に頭悪いから…」
私の前回の定期テストの解答用紙を見ている彼に申し訳ない。
彼は一度深く息を吐く。
その後に私に向けた顔は苦笑い。
「…いや、教えがいがあるよ。進級のためにも一緒に頑張ろう?」
あの解答用紙を見ても励ましてくれた!!
優しさに思わず涙がにじむ。
「一宮くんと一緒に進級したいから、私頑張る!!」
意気込む私に、なぜか顔を赤くする一宮くんが不思議だった。